手の外科

手の外科とは

トゲがささったり、何かにはさんだり、指を切ってしまったり、小さくても手の怪我をした人は、とてつもなく不便であると感じたと思います。これは手が日常生活のあらゆる場面で重要な役割を果たしているからです。
その大事な手の内部には骨・関節・神経・血管・筋肉・腱・靱帯といった重要な器官が存在しています。このため傷が治った後でも、障害を残しやすい所でもあるのです。
この繊細な手の怪我や疾患の治療を専門とする特殊な分野が手の外科です。

ばね指(弾発指)

指の腱鞘炎です。腱鞘とは指の曲げ伸ばしをする腱が通るトンネルです。使いすぎによりだんだん腱鞘がぶあつくなって発症します。指が伸びにくい・曲げにくい、指を曲げたり伸ばしたりすると指の付け根が痛む、指がこわばるといった症状です。繰り返して指を使用する中年以降の女性に多いようです。おや指(母指)、くすり指(環指)、中指の順に好発するとされています。

治療
成人の場合は安静、痛み止めの内服と塗り薬、ステロイドの腱鞘内注射(糖尿病のある場合は注射しないこともあります)を行います。改善しない場合、日帰り手術を行っています。腱鞘のみの切離で小さな傷で済みます。

小児(生後3カ月以降から3~4歳にかけて)にも時々、見られます。強剛母指といい、腱鞘炎ではなく腱が部分的に分厚くなり生じます。先天的要因で起こるとされています。ほとんどが母指で、「母指が伸びない・しこりがある」と家族が気付いて受診します。痛がることは少ないです。
小児の場合、自然治癒もあります。そえ木で固定することもあります。しかし、改善しない場合があり、小学校入学前までに治っていなければ手術になることもあります。手術(小児の場合は全身麻酔です)はばね指と同じで狭くなった腱鞘(トンネル)を開く腱鞘切開です。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

手関節部に痛みを起こす腱鞘炎です。母指のつけ根から手関節橈側(いわゆる手首のおや指側)にかけての痛み、腫れ、圧痛が主な症状です。母指を内側に入れて手を握り手関節の尺屈(手首を小指側に倒すこと)を強制すると手関節橈側に痛みが出現します。(Finkelsteinテスト)母指を伸展させる腱の通過障害で起こります。原因の多くが使いすぎのため、はさみを何度も使ったり、手をよく使う職業(特に母指)の方や、子供を抱っこする出産後の母親に発症しやすいです。
治療には安静を目的とした固定や、ステロイド剤の注射。改善しない場合は日帰り手術を行っています。

ヘバーデン結節

指先の関節(DIP関節といいます)の変形性関節症です。40歳過ぎの女性に多く発症しますが男性にも発症します。症状は痛みと腫脹・変形を生じてきます。関節リウマチを心配して受診される方が多いですが関節リウマチではありません。初期は痛みが伴いますが徐々に痛みが軽快していきます。残念ながら変形は残ります。治療は軟膏や痛み止めの内服をします。痛みがとれなかったり、変形がひどくなったりした時は手術を行うことがあります。

マレット変形(槌指:ついし、つちゆび)

いわゆる突き指です。
指先の関節(DIP関節といいます)での伸展機構の損傷です。DIP関節が曲がったままで伸ばそうとしても伸びなくなり受診されます。指を伸ばす腱が切れている場合と腱が付いている骨が折れている骨折の2つのパターンがあります。
治療は陳旧例になると良い結果を得ることが難しいため早期治療が大切です。
腱損傷のみ、もしくは小さな剥離骨折のみの場合:
装具を用いて固定します。固定期間が6-8週間必要です。治療中のポイントは絶対に装具を外さないことです。手洗いや入浴の時もです。患者さんの理解が治療の結果を左右することになります。

骨折の場合
骨折の転位(ずれ)が少ない場合、シーネ固定(いわゆる“そえ木“のことです)で治療することもありますがほとんどの場合、手術となります。ワイヤーで固定する方法です。局所麻酔の日帰り手術が可能です。

橈骨(とうこつ)遠位端骨折

転んで手をついたときにおこる手首の骨折です。骨粗鬆症のある女性に多いのですが若い人でも(子供も含めて)走っていて転んだ場合に強い力が加わると骨折します。
症状は骨折した手首に強い痛みと腫れが出てきます。骨折部の転位(ズレ)が大きいと変形していて、指に力が入らない、握れないといった症状も出現します。
x線検査で骨折の具合を評価し治療方法を決定します。
治療は何らかの固定が必要です。
ギプス固定で治療可能の場合もあります。しかし骨折の程度が強ければ手術(プレートとスクリューでの固定やワイヤーを使用しての固定)が必要になることもあります。

手根管症候群とは?

手首の部分で正中神経が圧迫され症状が出現します。この疾患は手関節の酷使や肥満、妊娠、閉経直後などが誘因となり、中年以降の女性に多く内科的疾患、とくに糖尿病や透析を受けている方に多いです。手のしびれの中で一番多い疾患です。 症状は手掌(てのひら)の母指(おや指)から中指や環指(くすり指)までのしびれ、手掌の母指側の筋肉がやせてきたりします。治療は手首の酷使を避けるといった安静が大事です。効果が見られなければ手術を行います。 手根管症候群に対し当院では局所麻酔を使用し内視鏡での日帰り手術を行っています。腕のつけ根に一時的に血流を止める駆血帯を巻いて手術をします。手首と手のひらの2か所に局所麻酔を行い、1cm程度切開し、手首側の切開部から手のひらの切開部まで内視鏡を挿入します。鏡視下で分厚くなった靭帯を切離し、神経の圧迫を取り除きます。切開した皮膚を縫合して手術は終了です。手術時間は約30分程です。手は麻酔の効果がきれた後は、痛みに応じて可能な範囲で手を動かすことができます。術後約2週間で抜糸します。しびれは術後すぐに消失するというわけではありませんが、ほとんどの方が症状の緩和を自覚されています。もちろん、その後も外来で経過を診ていく必要があります。

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