人工関節

人工関節について

人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)

膝痛の最も多い原因は「変形性膝関節症」ですが、軽症~中等症ならばリハビリテーション、関節内注射、装具や足底板、薬物療法などで対処可能です。半月板の変性や断裂を伴う場合は関節鏡手術も有効です。でも軟骨が擦り切れてしまって骨が露出しているような重症の場合は・・・?

人工膝関節は、膝痛が強くて歩くが嫌になるような重症例で、有効な治療手段です。

人工膝関節置換術とはどのような手術でしょうか? 変形した大腿骨側と脛骨側の骨を一部切除して、金属と強化プラスチックでできた人工関節をはめ込む手術です。ちょうど歯がボロボロになったときに、入れ歯にするのと似ています。その耐久性は15-20 年となり、成績は安定しています。「ゴルフの神様」ジャック・ニクラウスの膝には人工関節が埋め込まれていることを御存知でしょうか? もちろん人工関節にすればゴルフの腕前が上がるわけではありませんが・・・
どのような治療法にも長所と短所あるいは限界があります。

人工関節の長所 (1) 痛みをとるという点に関して信頼性が高い
(2) 日常の生活レベルが向上し、散歩する・旅行するといった楽しみを満喫できる 
人工関節の短所 (1) 耐久性が向上したとはいえ、永久的なものではない
(2) 通常しゃがみこんだり正座をしたりはできない (できる人もいますが・・・)
(3) 野球・サッカー・マラソンなどの激しいスポーツや重労働は無理であること

言い換えれば、膝痛が強くて他の治療法では改善が困難な重症例、年齢は65歳以上、自由に歩けるようになりたいという意欲があり、リハビリを行うことができる人に最もふさわしいと言えます。

当院では、人工関節の手術に 10年以上の経験がある術者のみが執刀を行います。
整形外科専門病院である特徴を生かして、術者だけでなく看護師・理学療法士をはじめとする医療スタッフが手術に慣れている点で信頼を得ています。また手術は NASA の class 1000 をクリアした無菌手術室(クリーンルーム)で行われます。入院期間は一般に 約3~4週間です。

単顆(部分)置換 (UKA:Unicompartment Knee Arthroplasty)

人工膝関節置換術(TKA)が内側と外側両方の関節面を切除して膝関節全体を人工のコンポーネントで置換するのに対して、単顆置換術 (UKA) は内側または外側の どちらかひどく傷んでいる側の関節面のみ切除して置換する方法です。総入れ歯に対して部分入れ歯と考えればよいでしょうか。
最小限の置換にとどめるために、手術時間や出血量が少なくてすみ侵襲が少ない(身体に優しい)という利点があります。そのため、術後の痛みが少なくて回復が早く、より高齢者に適しているといえます。しかし内外側両方の関節面が高度に破壊されている場合には適しません。また人工膝関節置換術 (TKA) に比べると長期成績が不安視されてきました。つまり TKA に比べると長持ちしないのではないかということです。しかし最近の UKA は進歩してきており、一般に10年以上は大丈夫と言われるようになってきています。
当院では慎重に適応を吟味して、UKA が相応しいという患者さんには この手術を行っています。

人工股関節置換術 (THA:Total Hip Arthroplasty)

平らな脛骨面に丸い大腿骨面が乗っかっている膝関節に対して、股関節は深いボール状関節であるため非常に安定しています。このため股関節は通常、人の一生を通じてそれほど軟骨が傷んでくることはありません。しかし、何らかの原因があって軟骨が究極に傷んできた場合には、痛みが強くて日常生活を大きく損なうことがあります。このようなとき人工股関節が有効な治療手段となります。

ただし、どんな治療法にもメリットとデメリットあるいは限界があります。
自分の骨で体重を支えようとする骨切り術に対して、人工股関節の長所と短所は以下のとおりです。

人工関節の長所 ・痛みをとるという点に関して信頼性が高い
・術後早期から手術をした脚に体重をかけることができる
人工関節の短所 ・耐久性が向上したとはいえ、永久的なものではない (人工関節の弛みはいずれ必ず起こる)
・激しいスポーツや重労働は無理であることです。

このため人工股関節は、関節軟骨が消失した末期の症例で 中高年以降の患者さんに限って行われます。年齢制限は施設によっても異なりケースバイケースですが、一般に55-60歳以上が好ましいとされています。
当院では院長を含む順天堂大学 股関節外科の専門医2人で執刀しています。

骨切り術

人工関節は痛みを取るという点に関して信頼性の高い手術ですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。耐久性という課題は人工関節にとって宿命ともいえる問題点です。特に若い患者さんほど、手術で痛みがなくなった場合の活動性は高く、人工関節にそれだけ負担がかかりますから耐久年数が短くなりがちです。
人工関節に対して、自分の骨を生かして関節の機能を改善させようとするのが骨切り術です。膝の場合には、O脚のために荷重が膝関節の内側にばかり集中するのに対して、高位脛骨骨切り術 (HTO:High Tibial Osteotomy) という手術が行われます。股関節の場合には、骨盤の屋根が充分に大腿骨の骨頭を覆っていないときに 骨盤側の骨切りを行って回転させ 屋根を外側に移動させる手術があります。これを寛骨臼回転骨切り術 (RAO:Rotational Acetabular Osteotomy) といいます。
それぞれの手術の詳細は後に述べることにして、骨切り術一般の長所と短所は以下のとおりです。

人工関節の長所 ・人工関節の適応とならない若い患者さんにこそ適している
・(症例と術式によっては)スポーツや重労働も可能となる
・将来 関節機能が再び悪化した場合でも人工関節という次の手が残されている
人工関節の短所 ・骨切り部位が癒合するまで約2ヶ月~半年かかる
・入院期間が人工関節に比べると長くなる
・(術式によっては)後で抜釘手術が必要となる

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